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実験室としての美術
実験室としての美術
自由学園の美術では、身近なものを観察することを大切にしています。観察とは、事物の現象を自然の状態のまま客観的に見ることです。そして、そこにあるものの仕組みや特徴を見つけ、自分の考えに基づいて手や身体を使い、試しながら形を探っていくことが造形活動の基本です。その時、美術は自身が感じたこと、考えたことを確かめる実験の場となります。
幼い子どもたちが絵を描き、ものを作りたがることは、自然に持ち得る欲求の一つとして認識されています。幼い子どもたちにとって、造形活動は未知なる世界との出会いであり、実験の場です。しかし、年齢が上がるにつれ、日本では学校教育の現場から美術の時間が減少し、多くの高等学校では美術(芸術)を選択科目としているのが現状です。
現代にあっても私たちの暮らしは常に不安定であり、また未知なるものです。コロナウイルスの存在は改めてその事実を感じさせます。未知なる世界とどのように対峙していくか?その模索が始まる10代というかけがえのない時期に、身の回りを観察し、自分の頭で考え、実験の場として美術を学ぶことが私たちは重要だと考えています。
さらに、美術は別々のものをつなぎ合わせるメディウム(媒介)の役割を持っています。美術を介して様々な眼差しが交差することで、自己と他者をつなぎ、社会と社会をつなぎ、自然と人間をつなぎ、過去と未来をつなぎます。生徒、学生一人一人が美術を通して世界とつながり、自由な視点と発想をもって歩んでいくことを願っています。
自由学園 美術科
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