日常が色で満たされているというのも、考えてみると実に不思議なものだ。自然は勿論だが、私たちの生活の中でも、その豊かな色幅と効果の恩恵を無意識に受け生活している。視覚的な認識として色がそれぞれに違うことはもとより、色によって人に与える印象までも違うことは神秘的という他ない。だからこそ、色はいろいろな例えに用いられるのだろう。
例えば、いま目の前で認識している赤という色は、果たして他者と全く同じなのだろうか。あるいは他の生物とも共通なのだろうか。そう考えてみると、眼前に広がる色の世界は相対的な関係性しか無い。
良く観て描くということは、そんな世界の相対性と構成する要素を抽象化し、再構成することなのだと思う。そもそも絵にする時点でどんな色にするかは個々の自由だ。
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指導|酒井恒太