日々の暮らしの中で、木は様々な形を伴って私たちの生活を豊かにし支えてくれている。そしてそれは、単に用途のある物だけに限らず、古来より思いをカタチに託し刻んできた歴史的背景を考えると、精神的発露としても人の文化を支えてきたのだと改めて痛感する。
自由学園生にとって木は、生活の中で特に身近な素材の一つである。何でも機械を使って正確に早く加工し、生産的に物を製作することが容易な現代において、あえて自らの力と道具だけで木と対話することで、人の力と自然の本当の関係性をリアルに体感することが出来る。
科学技術の発展によって、より身体的能力からの自由に邁進してきた人類史の一方で、人としての精神的な自由は目指せてきたのか。一見して、原始的にも見える地道な創作活動だからこそ生まれるゆっくりとした時間の流れでこそ、心身の成長と自由が確保されるように思う。
*写真をクリックすると作品全体をご覧いただけます
指導|酒井恒太、中村知子