木の中に見るカタチ|最高学部2, 3, 4年 彫刻[2018-19]

 目の前に原木を立てると、その大きさと圧倒的な懐の深さのようなものに圧倒される。それはかつて、地から立っていた木の本来の姿を見せつけられるようで、この威圧感は製材された木材とは別格のものだ。自分より長くこの世界に生きていたのだから当たり前だ。しかしそれと同時に、丸太というシンプルで無駄の無い円筒形が、自然が作り出す形態として非常に強い存在感を放つからでもある。一本一本少しずつ違った姿の原木は、それぞれの生きてきた人生を物語る。これから向き合う原木を選ぶ時間には、すでに木との対話が始まっていることを、学生たちの真剣な眼差しから伺い知ることが出来る。

 場に走る緊張感とは真逆で、制作が始まってしまえば鑿(のみ)のリズミカルな音が、互いに会話をしているかの様に作業場に響く日々。いうことを聞かせようとすると上手くいかない。自分の意志を伝えつつ、木の思いも聴く。そうした時間の累積によって、当初の想像を超えた新たなカタチにふと巡り出会う。自然が偉大だということを改めて痛感する。ぞれぞれの学生の思いを全てひっくるめて、温もりあるカタチとして受け止めてくれるからだ。


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指導|酒井恒太

​自由学園美術科
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