ある日、良質だがカタチには成らなかった大量の楢の端材が目についた。最近、学園内で天然木を利用した椅子や机が新調されたらしい。ふと、木口木版と併せ、日常を少しだけ楽しくする手のひらサイズの持ち運べる彫刻を作れないかと考える。
小さいとはいえ、堅木である楢材に彫りで形を与えるのは、木口木版はよいとしても、持ち手を造形するには至難の業だ。しかしそんな心配を他所に、生徒たちはどんどん思い思いのカタチを生み出してゆく。鋸や鑿、彫刻刀から鑢まで、手で木を加工する際の基本的な道具を覚えては工夫し制作に向かう姿は非常に頼もしい。色とりどりの豊かな個性を纏ったその彫刻達は、生徒達一人一人の心の躍動をそのまま表現しているように感じた。
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指導|酒井恒太